
医療機器物流とは?
物流プロセスや取り扱う製品、注意点を解説
高齢化の進行などにより、医療機器・医薬品の市場が大きく広がっています。医療機器物流は、医療現場を支える大事な役割を担います。この記事では、医療機器の物流プロセスや取り扱う製品、注意点などを解説しています。アウトソーシングを検討しているご担当者様はお役立てください。
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医療機器物流のアウトソーシング先を選ぶ際におさえるべき6つのポイント
医療機器物流とは?
医療機器物流とは、医療機器を取り扱う物流のことで、医薬品物流とともに「メディカル物流」を構成しています。メディカル物流では、温度や湿度の管理、トレーサビリティ(製品追跡)、セキュリティなどを徹底して行うことが求められます。
一般の物流に比べて、メディカル物流がいかに難しいかは、例えば新型コロナウイルスが猛威を振るった際、ワクチンが温度管理ミスによって大量に廃棄されたというニュースからもうかがうことができます。細心の注意を払い、確かな品質を保証してこそ、メディカル物流は人々の生命と健康を守る重要な役割を担うことができます。
医療機器物流プロセス
医療機器物流のプロセスを大まかに言えば、メーカーの製造拠点において製造されたものを物流拠点で荷受けし、検品や法定ラベル貼付、出荷判定などの工程を経て保管・出庫され、医療機関や医療機器ディーラーのもとに届けられます。その後のメンテナンス(修理)や洗浄・機能検査なども、医療機器物流の業務範囲になります。
近年、医療機器物流は、3PL(*1)企業と呼ばれる物流パートナーが担うケースが増えてきています。

*1 3PL:Third-Party Logisticsの略。自社の物流業務を外部のプロに任せることで、効率化とコスト削減を図るしくみ。
医療機器物流に関する法律と規制
医療機器や医薬品の物流に関することは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下:薬機法)」という法律によって定められています。薬機法では、医療機器や医薬品の製造から販売、使用まですべての過程を規制しています。物流においては、保管及び輸送時の品質管理、トレーサビリティの確保などを行う必要があり、医療機器製造業登録や医療機器販売業許可などを取得しなければなりません。
なお医療機器を管理する施設では、責任技術者等の管理者の配置が義務づけられています。

医療機器物流で取り扱う主な製品とよくある課題
医療機器物流が取り扱うものは、主に「医療機器」、「体外診断用医薬品(診断薬)」の2つがあります。
●医療機器
医療機器とは薬機法上で以下のように定義された機器・器具・装具を指します。
「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であって、政令で定めるものをいう。」
さらに安全上のリスクや目的・用途などの種別によって、医療機器は以下の4つのクラスに分類されています。
クラス |
概要 |
例 |
---|---|---|
クラス1 |
不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが極めて低いと考えられるもの |
体外診断用機器、鋼製小物(メス・ピンセット等)、X線フィルム、歯科技工用用品 |
クラス2 |
不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの |
MRI装置、電子内視鏡、消化器用カテーテル、超音波診断装置、歯科用合金 |
クラス3 |
不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられるもの |
透析器、人工骨、人工呼吸器 |
クラス4 |
患者への侵襲度が高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結するおそれがあるもの |
ペースメーカ、人工心臓弁、ステントグラフト(*2) |
*2 ステントグラフト:人工血管(グラフト)に、ステントと呼ばれる金属製でできたバネ状の骨組みを縫いつけた器具。
参照:厚生労働省「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の概要」
ほかにも医療機器の例としては、「手術用不織布」「注射針」「輸血ポンプ」「循環器系器具・機器」「整形外科系インプラント・手術器具」など、さまざまなものが挙げられます。
また医療機器の修理区分においては、修理するもの及びその修理する方法に応じて、特定保守管理医療機器以外の医療機器と特定保守管理医療機器に分かれます。(計18区分)
特定保守管理医療機器 |
特定保守管理医療機器以外の医療機器 |
---|---|
特管第一区分:画像診断システム関連 |
非特管第一区分:画像診断システム関連 |
特管第二区分:生体現象計測・監視システム関連 |
非特管第二区分:生体現象計測・監視システム関連 |
特管第三区分:治療用・施設用機器関連 |
非特管第三区分:治療用・施設用機器関連 |
特管第四区分:人工臓器関連 |
非特管第四区分:人工臓器関連 |
特管第五区分:光学機器関連 |
非特管第五区分:光学機器関連 |
特管第六区分:理学療法用機器関連 |
非特管第六区分:理学療法用機器関連 |
特管第七区分:歯科用機器関連 |
非特管第七区分:歯科用機器関連 |
特管第八区分:検体検査用機器関連 |
非特管第八区分:検体検査用機器関連 |
特管第九区分:鋼製器具・家庭用医療機器関連 |
非特管第九区分:鋼製器具・家庭用医療機器関連 |
●体外診断用医薬品(診断薬)
体外診断用医薬品(診断薬)は、人や動物に直接使用するのではなく、疾病の診断に使用することを目的とした医薬品です。診断薬の物流においては、温度管理や輸送ルートのリスクアセスメントなど、品質を最優先に考えた体制の構築が求められます。
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ここからは医療機器物流における、よくある課題を3つ紹介します。
よくある課題①「自社での業務負担の軽減」
医療機器物流では各種法規制に則った業務(荷受け、検品、法定ラベル貼付、出荷判定等)を高い品質で実施する負担は大きく、自社だけで対応することはなかなか容易ではありません。
よくある課題②「物量増加への対応」
業務が拡大し、物量が増えれば、それだけ施設や設備投資も増えて業務が煩雑になり、人手もさらに必要になります。自社で物流を担うことは、大きな負担となります。
よくある課題③「医療機器物流の実績が豊富な物流会社を見つけるのが難しい」
アウトソーシングする際に、どの会社を選べばよいのか悩む方も多いでしょう。法規制に則ったサービスが提供されるか、必要な業許可を取得しているか、トレーサビリティは大丈夫かなどを見極める必要があります。
最適な医療機器物流会社の選び方
アウトソーシングには、「コアビジネスに集中できる」「管理コストを削減できる」「物量の増加に対応できる」など、多くのメリットがあります。どのような視点で物流会社を選べばよいのかを解説します。
●必要な業許可を取得しているか
医療機器や医薬品を取り扱うための業許可がなければ、そもそもメディカル物流に携わることはできません。薬機法に基づくさまざまな許可が必要になります。

●十分な品質管理体制が構築できているか
薬機法やその他の規制に則り、品質や安全性に対する管理体制が適切に構築されているかも重要なポイントとなります。具体的には、QMS省令やISO13485要件など、医療機器の品質や安全を確保する管理体制が整っているかも確認が必要です。
●製品特性に合わせた設備が充実しているか
温湿度管理など、自社が取り扱う製品の特性に合った設備があるか、拠点や配送などについても確認しましょう。
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安田倉庫株式会社は、医療機器物流において確かな実績とノウハウを築いてきました。専門的な知見と設備を要する整形外科分野や診断薬・検査機器では業界トップクラスの実績を誇ります。加えて倉庫業界で唯一、医療機器修理業の全区分の資格を有しており、医療機器の入出荷からメンテナンス、洗浄、修理対応までを、ワンストップで一任いただけることも大きな強みです。医療機器製造業・販売業をはじめさまざまな業許可やISO13485(医療機器の品質マネジメントシステム)を取得した施設で、メディカル専門スタッフが高品質なサービスを提供します。
また、メディカル専用車両で、メディカル配送の教育を受けたドライバーが、輸配送を担当しています。ディーラーや病院特有の納品ルールにも対応するほか、大学・病院向けの大型医療機器配送・設置サービスも提案可能です。
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医療機器や医薬品のメディカル物流は、医療現場を支え、人々の命と健康を守る重要なインフラ基盤です。その取り扱いは難しいだけに、物流会社を選ぶ際には厳しい目でチェックする必要があります。
安田倉庫株式会社は、首都圏を中心に全国へ物流事業を展開する総合物流企業として、大手医療機器メーカー・ディーラーの物流を支えてきました。ますます高度化する拠点をベースに、医療機器や医薬品はもちろん、多様な物流サービスを展開しています。アウトソーシング先の候補として、気軽にお問い合わせください。