物流コストとは?
費用の内訳や比率、コスト高騰の理由についても徹底解説
企業の利益を向上させるためには、物流コストの削減が欠かせません。この記事では、物流コストや内訳、コスト高騰の理由について解説します。物流コストの5つの削減方法についても解説しているので、物流コストについて理解を深める際の参考にしてください。
物流コストとは?
物流コストとは、その名のとおり物流業務において発生する費用のことです。供給者と需要者との間に「モノ」の流れが対象となり、有形、無形は問われません。輸送・運送費などの「支払い物流コスト」のみではなく、人件費や社内システムなどにかかる「社内物流コスト」も含まれます。
物流コストの内訳
物流コストは、大きく4つに分けられます。ここでは、物流コストの内訳について解説します。
1.輸送・運送費
輸送・運送費とは、商品を販売したときに必要となる運賃のことです。具体的には、チャーター車両費用、配送業者を利用する際の配送料、ガソリン代、減価償却費などが挙げられます。輸送・運送費は、物流コストのなかでも高い割合を占めるため、輸送・運送費をいかに削減できるかが、企業の利益向上につながるといわれています。
2.荷役費
荷役費は、荷役作業にかかる費用です。具体的には、荷物を出し入れする際のピッキング、仕分け、積付け、入出庫・運搬などにかかる費用を意味します。荷役費は、作業量によって時間や費用の変動があるため、効率化を図ることで、費用を削減できるでしょう。
また、ロケーション管理によってピッキングの導線を効率化したり、WMS(倉庫管理システム)を導入したりするのも、効果的な方法です。
3.保管費
保管費は、取引先に商品を納品するまでに、一定の場所で商品を預かっておく際にかかる費用です。具体的には、外部倉庫を借りる費用、自社の倉庫の維持費などが挙げられます。外部倉庫を借りる場合と、自社の倉庫で行う場合では、費用の差が大きく出る傾向があります。
保管費を削減するには、在庫の保管方法や委託先の倉庫の契約方法を最適化することが大切です。
4.管理費・人件費
管理費は、物流管理システムや受発注システムの導入・運用費などです。システムを導入する際には、まとまった費用が必要なため、事前に費用対効果を検証するようにしましょう。
一方で人件費は、物流担当者、作業員、営業担当などに支払う給与が該当します。ただし、自社で従業員を採用すると人員を柔軟に配置しにくいため、外注化して、費用を抑える方法もあります。
物流コスト高騰の理由
物流コストが高騰する理由は、主に3つあります。ここでは、3つの理由について解説します。
ガソリン代の高騰
ガソリン代の高騰は輸送費に影響します。昨今、原油の価格変動の影響から、ガソリン代の高騰が続いています。そのため、ガソリン代に関連するニュースを確認するようにし、ガソリン代の変化を予測しながらコスト管理をしましょう。
運搬・輸送担当のドライバー不足
現在、物流業界は、長時間労働や労働環境の悪さから、ドライバーが不足している状況です。
運搬・輸送担当のドライバーが減ると、ドライバーの待遇改善や雇用条件の見直しをせざるを得ないため、物流コストが上昇します。
積載効率の低下、運搬・輸送頻度の増加
積載効率の低下、運搬・輸送頻度の増加も、物流コスト上昇の原因の1つです。昨今、物流の需要が増えるにつれて、小ロットの荷物の運搬・輸送が必要になっています。この影響から、積載効率が低下し、運搬・輸送頻度が増え、物流コストが上がっています。
物流コストの比率とは
物流コストの比率とは、総売上に占める物流コストの割合です。日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が実施した「2022年度 物流コスト調査報告書【概要版】」によると、輸送費が55.1%、保管費が16.9%、その他が28.0%と示されています。
物流コストの5つの削減方法
物流コストの削減方法は主に5つあります。ここでは、5つの削減方法について解説します。
1.物流拠点の集約化
物流拠点を減らして、集約させることで、物流コストを削減できます。拠点を集約化すると、荷物をまとめて運送できるようになり、輸送費を削減できるためです。拠点を減らすことで、人件費や保管費も抑えられるため、全体的な物流コストの削減にもつなげられるでしょう。
2.管理費・人件費・保管費の見直し
物流コストを削減するためには、管理費、人件費、保管費などの費用を見直すことも大切です。適正人員の把握や保管レイアウトの変更を行う等、従来の管理方法を見直すことでコスト削減を実現することが可能な場合もあります。
それぞれの費用を定期的に確認し、現状よりも費用をかけずに同様の業務を進められるかどうか、検討しましょう。費用を見直す際には、効率化を図れるかどうかを検討する方法がおすすめです。
3.倉庫内作業ルールの策定
倉庫内作業ルールの策定も、物流コストの削減方法として挙げられます。倉庫内作業をルール化すると、現状を把握しやすくなり、業務効率化を図れるためです。倉庫内作業のルールを策定する際には、5S活動を取り入れることをおすすめします。5S活動とは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」からなる物流業の現場を改善する考え方のことです。
4.物流管理システムの導入
物流コストを削減するためには、物流管理システムの導入を検討しましょう。物流管理システムを導入することで、物流コストの削減や業務効率化、管理の強化を実現できます。物流管理システムによって得られるメリットは、以下の通りです。
- 人的コストの削減
- 作業ミスの減少と作業効率の向上
- 配送情報の統一管理
- 倉庫回転率の向上
- 精密な運賃分析の実施
5.物流業務のアウトソーシング
物流業務をアウトソーシングする方法もあります。物流業務をアウトソーシングして、物流業務の大部分を任せることで、在庫管理を最適化できたり、業務効率化を図れたりします。アウトソーシングをするメリットは、以下の通りです。
- 専門的な知識がなくても物流コストを抑えられる
- 物流トラブルを専門業者に任せられる
- 重要な業務に時間を割ける
業者によって提供するサービスが異なるため、自社と同じ業態・業種の会社を担当する実績があるか、確認しましょう。
まとめ
物流コストは、物流業務を実施するにあたってかかる費用です。企業の利益をアップさせるためには、物流コストの削減は欠かせません。物流コストの削減方法は、物流拠点の集約化、管理費・人件費・保管費の見直し、物流業務のアウトソーシングなど、さまざまです。自社に効果的な方法を選びましょう。
安田倉庫株式会社は、首都圏を中心に全国へ物流事業を展開しています。創業100年にわたる経験と実績をもとに、物流業務の課題に対して最適な解決策を提案します。物流コストの削減を検討する際には、お気軽にお問い合わせください。