EC物流代行サービスとは?
4つのメリットをEC倉庫の特徴や事例とともに解説!
【サービス選定チェックリストあり】
ECサイトの需要は近年拡大しており、今後さらなる拡大が見込まれています。この記事では、EC物流業務の基本情報から課題、EC物流代行業者へ依頼するメリット・デメリット、代行業者を選ぶ際のポイントなどを解説しています。自社でECサイトを運営している方は、参考にしてください。
▼お役立ち資料はこちら▼
→ EC物流代行サービスを選ぶ際におさえるべき9つのポイント
そもそもEC物流業務とは?
物流業務とは、注文を受けた商品が顧客の手もとに届くまでに発生するさまざまな業務のことです。そしてEC物流業務とは、インターネットを通じて行われるEC(電子商取引)において発生する、商品の入荷や保管、在庫管理、発送などの物流業務を指します。
通常の物流業務とは少し事情が異なり、EC物流業務では以下のような対応が求められます。
●多様な販売チャネルの整備
Webサイト、SNS、アプリなど、商品の販売経路は多様化しています。これらに幅広く対応できていることが大切です。
●在庫管理の効率化
小ロット多品種の商品を取り扱うケースが多いため、効率的に在庫管理を行わなければなりません。
●迅速・正確な配送
配送の遅れや破損などのトラブルは顧客離れにつながるため、スピーディかつ正確な対応が求められます。また配送状況の通知など、きめ細かな対応は物流品質や顧客満足度、ブランドイメージの向上にも有効です。
EC物流倉庫とは?
EC物流業務を支えるのが、EC物流倉庫です。EC物流倉庫では、ECサイトで取り扱う商品の入庫・保管・ピッキング・出荷などの物流業務を一括して行います。インターネットの普及により、アマゾン、楽天などのECモールが発達し、また自社でECサイトを持つ企業も増えてきました。それに比例して、EC物流倉庫の数も増加しています。
EC物流倉庫ではBtoCへの出荷が多いため、時として細かい対応も求められます。また、スタンダードな保管場所である「一般倉庫」のほか、商品の種類や顧客ニーズなどに合わせてさまざまな倉庫(手法)を選択し、組み合わせて使うことが重要になってきます。ここではおもな倉庫の種類を3つ紹介します。
●自動化倉庫
ロボットや最新のシステムを活用して効率化を図る倉庫です。高速のピッキングなどが可能になります。
●低温倉庫
食品、医薬品など、適切な温度管理が求められる商品の保管に特化した倉庫です。「冷蔵・冷凍区画」といった形で設けられることが一般的です。
●マイクロフルフィルメントセンター
従来型の大きな配送センターではなく、EC物流に対応して設置される小規模な配送センターです。スピーディな配送を可能にします。
EC物流代行とは?
EC物流代行とは、EC物流業務を自社で実施するのではなく、外部にアウトソーシングできるサービスです。複数の荷主の物流業を代行する「3PL(サードパーティー・ロジスティクス)サービス」の一つで、EC物流に特化したさまざまな業務を担っています。
自社でEC物流業務を実施しないため、時間や人的リソースを割く必要がなく、他社に依頼することでコア業務に注力できるようになります。
なおEC物流代行には以下の2つのタイプがあります。
●定額代行
あらかじめ決められた料金で物流代行サービスが受けられます。料金と具体的な業務内容は事前に示されるため、わかりやすく管理しやすいのが特徴です。
●カスタム代行
業務内容を柔軟にカスタマイズできる利用方法です。ニーズに応じて柔軟な対応が可能ですが、反面、料金や契約内容が複雑になります。
EC物流代行の特徴とサービス内容
EC物流代行サービスにはどのようなものがあるのか、具体的なサービス内容は代行業者によって異なりますが、主なものを紹介します。
●入庫・検品
ECサイトで販売する商品を倉庫に入れ、注文した数量が届いたか商品を検品します。出荷した商品が返品された際には、出荷記録のある商品かどうかを確認します。
●保管・在庫管理
商品を品質が保てる環境で保管します。また欠品による機会喪失、過剰在庫によるコスト増加などを防ぐために、適切に在庫管理を行います。
●受注・出荷業務
顧客から注文を受け、出庫指示を正確に出す業務です。EC事業者の業務効率化システムと連携するWMS(※)によって、出荷指示データを取り込み、ミスなく出荷業務を行います。
●ピッキング・梱包・出庫
商品を顧客に発送するためのピッキングおよび梱包を行います。その際、業者によってはギフトラッピングやメッセージカードの梱包などきめ細かなサービスを提供しています。また、配送先に合わせて最適な配送業者を選定します。
●問い合わせ業務
いわゆるカスタマーサポートの業務です。問い合わせへの対応など、顧客満足度の向上のためにも重要な役割を果たします。
EC物流が抱える3つの課題と対策
EC物流には、主に在庫管理、人材確保、物流コストという3つの課題があります。求められる対策とあわせて、それぞれを詳しく解説します。
1.在庫管理
ECによってさまざまな商品を消費者に送るためには、倉庫内での高度な在庫管理が欠かせません。ロット管理や賞味期限の管理は必須なほか、リアルタイムで在庫数を把握できなければなりません。ただし、ECサイトで扱う商品が多いほど在庫管理は複雑になります。実店舗での販売も並行している場合、在庫管理はより複雑になり、トラブルが発生しやすくなります。
2.人材確保
実店舗と同じように、ECサイトにも繁忙期と閑散期が存在します。また、セールや広告などによって、急激な市場拡大のチャンスが訪れる場合があります。それぞれのタイミングで適した人材の量は異なり、常に最適な量にするのは難しいでしょう。
注文が増えた際に人材が不足して、注文から到着までのリードタイムが長くなると、顧客の不満につながり、競合他社への流出などのリスクがあります。EC物流にとって、出荷能力を担う人材の確保は重要です。ただし、ノウハウを持った人材の育成には、時間や費用がかかります。
3.物流コスト
EC物流には、倉庫の賃料や働く従業員の人件費、在庫管理のための設備費、配送トラックの車両代や燃料費などが必要です。事業の規模によってはEC物流のコストが大きな負担になることもあります。
また、近年はEC業界の成長とドライバーの不足により、宅配網の維持が難しくなっています。需要と供給のバランスが崩れることで、物流コストが上昇していることも課題です。アマゾン(FBA)や楽天(RSL)といったフルフィルメントサービスにも、レギュレーションやコストに課題があります。
EC物流代行の4つのメリット
EC物流代行には、どのようなメリットがあるのでしょうか。主な4つを紹介します。
1.他業務へリソースを回せる
商品を素早くかつ正確に届けるには、手間と時間、コストがかかります。アウトソーシングするとEC物流業務を一部、またはすべて委託できるため、物流業務に就いていた人的リソースや時間、場所などを他の業務に回せます。
企業の規模が大きくなく、少人数で他業務と兼任している場合は特に負担を減らせるでしょう。アウトソーシングすることで、本業に専念できるようになります。
2.物流コストを削減できる
自社でのEC物流業務は、繁忙期でも閑散期でも、常に固定のコストが発生します。具体的には人件費や倉庫の費用、商品の管理費など、多くの費用が必要です。EC物流代行であれば、倉庫が必要なく、自社で従業員を用意しなくてもよくなります。
システム利用料や保管料などのランニングコストはかかるものの、人件費や倉庫費、車両代などの固定費を削減でき、総合的にはコストを削減できる可能性が高いでしょう。
3.ミスを減らし顧客満足度を高められる
物流では、商品のピッキングや出荷処理などの作業を人手に頼るケースが少なくありません。自社で物流業務を行う場合、従業員の経験や力量によってはミスが発生しやすくなり、ECサイトの評価を下げてしまう可能性があります。
EC物流代行業者では多くの場合、倉庫管理システムが導入されており、丁寧な検品を実施しているため、ミスを削減できます。全国に拠点のある業者であれば各地から出荷できるため、素早く到着することができ、リスク分散にもなるでしょう。早く到着することで、顧客満足度の向上につながります。
4.在庫を置くスペースが不要になる
ECの規模が大きくなるほど、在庫の商品を置くスペースも大きくなります。繁忙期と閑散期の物流量に差があっても、設備は繁忙期に合わせて用意しなければなりません。EC物流代行業者を利用すれば自社で倉庫を用意する必要がなく、倉庫スペースが不要になります。EC物流代行業者であれば、時期を気にする必要がなく、柔軟に対応できるでしょう。
EC物流代行の2つのデメリット
EC物流代行にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。主な2つを挙げてみます。
1.自社にノウハウが蓄積されない
EC物流をアウトソーシングすると、システム化してくれるため発送のミスが減少します。ただし、自社内で行わないためノウハウは蓄積されません。将来的に自社で物流業務を行いたいと考えている場合には、再びゼロから構築しなければならなくなります。そのため、スムーズに移行できない可能性があります。
2.柔軟な対応が難しい
ギフトラッピングや熨斗、名入れなどの特別な対応があった場合、代行業者に細かい指示が必要です。代行業者がサービスに対応していなかったり、制限がある場合などもあったり、柔軟な対応が取りづらくなります。「代行業者への指示」という工程を1つ多く踏んでしまうため、タイムリーな対応も難しくなる場合があります。
EC物流代行サービスを選ぶ際のポイント
EC物流代行サービスを提供する業者は多数あります。業者によってサービス内容が異なるため、自社の規模や業態、商品などに合わせて業者を選択することが重要です。適切なEC物流代行サービスを選ばないと、コストが上がる、梱包や配送に制限がかかる、商品の追加や増減に対応できないなどの事態になってしまう可能性があります。そうならないためにも、以下の9つのポイントをおさえておきましょう。
〈EC物流代⾏サービスを選ぶ際のポイント〉
- 業務範囲と取扱商材
- 物流品質
- システムの機能
- 柔軟性ときめ細かさ
- 物流倉庫の立地
- セキュリティ対策
- 適正な価格設定
- 実績や信頼性
- サポート体制
EC物流代行サービスを選ぶ際におさえるべき9つのポイントについて、詳しい解説付きのチェックリストを以下からダウンロードできます。
今すぐダウンロードする!EC物流代行サービスの活用事例
実際にEC物流代行サービスを活用している高級家電メーカーの事例を紹介します。EC物流代行サービス利用前の課題や解決策および効果を知ることで、どのようなメリットがあるのかが理解できます。
【利用前の課題】
ECの利用が増えたことに伴い、インターネット上で顧客の声を収集し、製品開発やマーケティングに生かしたいと考えましたが、ECプラットフォーマー経由では得られる情報が限られていました。また、ECでも店舗と同様の買い物体験を提供したいものの、既存のECプラットフォーマーでは制約が多く実現に至りませんでした。フルフィルメントサービスは多くの顧客にとって便利な反面、大型商品やギフト梱包などの細かなカスタマイズには対応できず、こだわりたい顧客にとってECでの買い物は物足りないことが課題でした。
【解決策】
ECプラットフォーマーでは対応しきれない部分を補うため、EC物流代行サービスを導入し、自社ECの強化に向けた物流体制を構築しました。EC物流代行業者と実現したい世界観を共有し、一体となって取り組むことで、技術力を要する細かなギフト梱包や大型商品にも対応できるようになりました。
【効果】
EC物流代行サービスを活用することで、自社ECでの柔軟な顧客対応が可能となりました。地方などショップ未出店のエリアでも、ECによる自社の世界観が伝わる買い物体験を実現することができ、ブランドイメージや顧客満足度の向上につながりました。また、収集した顧客の声や要望などの細かな情報を商品開発やマーケティングに活用できるようになりました。
まとめ
今回はEC物流業務とは何か、EC物流倉庫やEC物流代行サービスのメリット・デメリット、選定のポイントなどを紹介しました。IC化・デジタル化が進み、ECの活用が大幅に増加した現代では、多様な顧客ニーズに自社のみで対応することは困難です。EC物流代行を利用することで、顧客ニーズに対応できるだけでなく、他の業務に時間や人材を割り当てられるようになり、コスト削減や業務効率化、さらには倉庫管理システム導入によってミスを削減することもできるようになります。
EC物流代行を提供する業者も増えており、サービス内容もさまざまです。自社の規模や扱う商品、求める対応に合わせて委託する業者を選定する必要があります。
安田倉庫株式会社は、創業から100年以上の歴史がある総合物流企業です。首都圏を中心に全国へ物流事業を展開し、物流の効率化をサポートしています。EC物流代行サービスの利用を検討している場合は、ぜひお問い合わせください。